「わからない」から逃げる生徒たちへ
「わからない」――
この言葉を言った瞬間に、勉強への扉を閉めてしまう生徒がいます。
その言葉の裏には、「もう考えたくない」「面倒くさい」「つまらない」など、さまざまな感情が隠れています。
けれど、本来「わからない」は成長へのスタートラインなのです。
■「わからない」と言ったら終わり?
よくあるのが、問題を前にして数秒考えて「わかんない」と言ってしまうケース。
何がわからないのかを掘り下げず、“わからない=やらない理由”として使ってしまうのです。
しかし、「わからない」は本来、
「ここを知れば自分はひとつ成長できる」というチャンスの言葉であるべき。
この大切な一歩を、自分自身の“つまらない”という感情で踏みにじってしまっているのは本当にもったいない話です。
■興味・関心の芽を摘んでいるのは自分自身
「どうしてこうなるのだろう」
「どんなふうに解けばいいのか」
この“問い”が生まれたときこそ、学びのチャンス。
でもその問いが生まれる前に、自分の中の「面倒くさい」「よくわかんない」が勝ってしまうと、好奇心も意欲も芽を出す前に摘まれてしまいます。
興味・関心を“自分の天秤”で計り、ちょっと重たいと感じたら捨ててしまう――
それでは、いつまでも自分の世界は広がりません。
■じゃあ、どうすればいいの?
「わからない」と言って逃げてしまう生徒に必要なのは、
“自分の問い”を持つことです。
「なんで?」と思うクセをつけること。
「何がわからないのか」を言葉にすること。
そして、すぐに諦めず少しだけでも調べる・考える時間をもつこと。
先生や大人ができるのは、「考えさせる問い」を投げかけること。
「どうしてそう思ったの?」
「どこまでならわかったの?」
「ヒントを出すとしたら、どこがカギだと思う?」
そんなふうに、自分で考える導線をつくってあげるのが大切です。
■“わかる楽しさ”を味わうことがカギ
1つわかった。
たったそれだけで、「あ、できた!」という小さな達成感が生まれます。
この快感を知ってしまえば、次は「もうちょっとやってみようかな」となる。
そこに火がつけば、学びのエンジンは止まりません。
「わからないからやらない」ではなく、
「わからないからこそ知りたい」に変える。
その変化こそが、本当の意味での“勉強のはじまり”です。
■最後に
「わからない」は終点ではありません。
むしろ、成長へのスタートラインです。
目の前の問題を、ただの“作業”として処理するのではなく、
「知るっておもしろい」「できるってうれしい」と思えるような心の持ちようが大切。
大人がそのきっかけをつくり、
子どもがその扉を開ける。
そんな学びの連鎖が、確かな力になります。