塾長ブログ

2025/07/28
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風は感じるのに、ダークマターは感じないのはなぜ? ~“あるのに見えない・感じない”不思議な世界~

風は見えないのに、ちゃんと“ある”よね?


私たちは毎日、風を感じています。
顔にスーッと当たる感覚、木の葉をゆらす力、紙を飛ばす動き——
風は目に見えないけど、「そこにある」とわかりますよね。


それは、風の正体が「空気」=分子のかたまりでできていて、
それが体にぶつかるからです。


でも――


「じゃあ、“ダークマター”はなんで感じられないの?」


ダークマターってなに?


ダークマター(暗黒物質)とは、
見えないのに、宇宙に大量にあると考えられている不思議な物質」です。


実は、宇宙にあるもののうち、
私たちが目で見たり触ったりできる“ふつうの物質”はたったの 5%ほど


残りの約27%がダークマター、そして残りの約68%がダークエネルギーと考えられています。
つまり、宇宙のほとんどは“見えないもの”でできているということなんです。



見えないだけじゃない、“感じることもできない”


風は目に見えないけれど、ぶつかるから感じられる。
でも、ダークマターは…


✔ 光を反射しない(見えない)
✔ 電気も磁気ももたない(反応しない)
✔ 原子や分子と“ほぼ”ぶつからない(感じられない)


つまり、私たちの体にぶつかってこない=感じられないのです!



じゃあ、どうやってダークマターの存在がわかったの?


感じないし見えないのに、どうして「ある」とわかったのでしょう?


答えは…「重力(じゅうりょく)」です。


星や銀河の動きを観察すると、見えている物質だけでは説明できないことがたくさんあります。

たとえば、

  • ・銀河の回転が速すぎるのにバラバラにならない

  • ・銀河どうしが集まって“かたまり”になっている


こうした現象を説明するために、見えないけど重力だけ持っている“なにか”があるはずだと考えられた——
それがダークマターです。



なぜ風と違って感じられないの?


大きなちがいは、「どんな力で反応するか」です。


比較対象 感じられる理由 私たちと“ぶつかる”?
風(空気) 分子が体にぶつかってくる ✔ はい
ダークマター 重力以外では反応しない(すり抜ける) ✘ ほぼぶつからない


風は私たちの皮ふや体に直接ぶつかるので「冷たい!」「気持ちいい!」と感じることができます。
でもダークマターは、体の原子のすき間を通り抜けてしまうほど、接触がほとんどないため、まったく感じることができないのです。



実は今も、体をすり抜けてる!?


科学者たちによると、ダークマターは地球のまわりにもあると考えられています。
つまり、今この瞬間も、私たちの体の中を何億個ものダークマター粒子が通り抜けているかもしれません。


でも、すり抜けるだけでぶつかってこないので、感じることもできないし、見つけるのも超むずかしい!



おわりに|“感じられない”けど“ある”というふしぎ


風は見えないけど感じられる。
ダークマターは見えないし感じられないけど、「ある」ってわかっている。


どちらも“見えない世界”を感じるための入り口です。


私たちが普段感じている世界は、宇宙のほんの一部にすぎません。
感じられない“何か”が、実は世界の大半をしめている——
そう思うと、科学ってワクワクしませんか?

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