風は感じるのに、ダークマターは感じないのはなぜ? ~“あるのに見えない・感じない”不思議な世界~
風は見えないのに、ちゃんと“ある”よね?
私たちは毎日、風を感じています。
顔にスーッと当たる感覚、木の葉をゆらす力、紙を飛ばす動き——
風は目に見えないけど、「そこにある」とわかりますよね。
それは、風の正体が「空気」=分子のかたまりでできていて、
それが体にぶつかるからです。
でも――
「じゃあ、“ダークマター”はなんで感じられないの?」
ダークマターってなに?
ダークマター(暗黒物質)とは、
「見えないのに、宇宙に大量にあると考えられている不思議な物質」です。
実は、宇宙にあるもののうち、
私たちが目で見たり触ったりできる“ふつうの物質”はたったの 5%ほど。
残りの約27%がダークマター、そして残りの約68%がダークエネルギーと考えられています。
つまり、宇宙のほとんどは“見えないもの”でできているということなんです。
見えないだけじゃない、“感じることもできない”
風は目に見えないけれど、ぶつかるから感じられる。
でも、ダークマターは…
✔ 光を反射しない(見えない)
✔ 電気も磁気ももたない(反応しない)
✔ 原子や分子と“ほぼ”ぶつからない(感じられない)
つまり、私たちの体にぶつかってこない=感じられないのです!
じゃあ、どうやってダークマターの存在がわかったの?
感じないし見えないのに、どうして「ある」とわかったのでしょう?
答えは…「重力(じゅうりょく)」です。
星や銀河の動きを観察すると、見えている物質だけでは説明できないことがたくさんあります。
たとえば、
-
・銀河の回転が速すぎるのにバラバラにならない
-
・銀河どうしが集まって“かたまり”になっている
こうした現象を説明するために、見えないけど重力だけ持っている“なにか”があるはずだと考えられた——
それがダークマターです。
なぜ風と違って感じられないの?
大きなちがいは、「どんな力で反応するか」です。
比較対象 | 感じられる理由 | 私たちと“ぶつかる”? |
---|---|---|
風(空気) | 分子が体にぶつかってくる | ✔ はい |
ダークマター | 重力以外では反応しない(すり抜ける) | ✘ ほぼぶつからない |
風は私たちの皮ふや体に直接ぶつかるので「冷たい!」「気持ちいい!」と感じることができます。
でもダークマターは、体の原子のすき間を通り抜けてしまうほど、接触がほとんどないため、まったく感じることができないのです。
実は今も、体をすり抜けてる!?
科学者たちによると、ダークマターは地球のまわりにもあると考えられています。
つまり、今この瞬間も、私たちの体の中を何億個ものダークマター粒子が通り抜けているかもしれません。
でも、すり抜けるだけでぶつかってこないので、感じることもできないし、見つけるのも超むずかしい!
おわりに|“感じられない”けど“ある”というふしぎ
風は見えないけど感じられる。
ダークマターは見えないし感じられないけど、「ある」ってわかっている。
どちらも“見えない世界”を感じるための入り口です。
私たちが普段感じている世界は、宇宙のほんの一部にすぎません。
感じられない“何か”が、実は世界の大半をしめている——
そう思うと、科学ってワクワクしませんか?